NO.16 平成13年12月25日号 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 〃       ◇ 農 村 ノ ス ス メ ◇        〃 〃                〜電気農場の日常より 〃 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃  どーも、ご機嫌いかが?よーすけどんです。生まれも育ちも山 形県新庄市。生粋の農村生活者であるワタクシが、農家の日常、 悪戦苦闘の有機農業の実態、その他農村生活の真実をリアルにお 伝えしていきます。            *  *  *  いや〜2001年ももうちょっとで終わりですねえ。  なんだか今年は気張りすぎたなあ。空回りするのは毎度のこ と、あんまり気にしちゃいません。  それでも来年はもうちょっとのんびりいきたいなあ。    ※もくじ※ 【1】農村生活 新庄編・・・増えるのは良いけれど 【2】電気農場のお仕事帳・・大豆収穫 【3】有機な日々・・・・・・有機はどこへ行く 【4】直売所のひとこと・・・重要なのは 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 【1】農村生活 新庄編・・・増えるのは良いけれど  最近「ネットワーク農縁」の人脈で新庄に移住してくる人が増 えました。  環境問題に取り組んでいた人、都会で自然食品店を営んでいた 人、定年前にサラリーマンから農業へ転職した人。  こんななんにもない町にいろんな人がやってきます。早稲田大 学のバイオマス研究所までやってきます。  保守的で、閉鎖的な田舎町にいろんな考えを持った人が移り住 んでくれるのはうれしいんですけどねえ・・・。  ところで、こういっちゃ失礼かもしれないですけど、みんなあ る程度お年を召した方たちばかりなんですよねえ・・・。  若い人よやってこーい! 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 【2】電気農場のお仕事帳・・大豆収穫  なんだかんだありましたが、何とか無事大豆の収穫を終えるこ とが出来ました。  結局今年は刈り取り、乾燥、選別を別々の所にお願いすること になりました。  大豆なんてのはお米にくらべて収益が少ないので、とても個人 で機械を揃えるってわけにはいかないもんですから、なかなか大 変です。また選別が終わるのが2月頃になってしまいそう。  自然乾燥って手もありますけど、気温が低く日照も少ない新庄 では2月頃までかかるそうです。昔は株ごと刈った豆を作業小屋 の梁の上につるしといて乾燥、春になってから選別したそうで す。さすがにそれは出来無いなあ。 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 【3】有機な日々・・・・・・有機はどこへ行く  12月17,18日東京の駒場で行われた『環境保全型稲作全 国交流集会』に出席してきました。  有機農業に取り組む面々が全国から集まり、夜の交流会、二次 会を含めて、かなり有意義な2日間でした。  有機栽培の技術、環境との調和、海外の有機農産物の現状、農 薬の航空散布問題、遺伝子組み換え稲の問題などなど、果てはW TOの農業問題までと、とても濃い内容でした。何とか私なりに まとめて、HP上に掲載しようとしているところですが、内容が 濃すぎてまとめきれるかな。  有機の栽培技術についてはほとんど出尽くした感があり、後は どうやってその理想型に近づいていけるかって段階まで来ている ようです。実はそれが一番難しいんですけど・・・。  今一番気がかりなのが、遺伝子組み換え稲です。  モンサント社や愛知県農業試験場で開発された遺伝子組み換え 稲が、もうすぐ食品として申請されるそうです。  これら遺伝子組み換え食品の問題点は、その危険性が未知、 「わからない」、具体的に特定できにくい、そういったグレー ゾーンが問題なのだそうです。  飼料用トウモロコシなどは種がほぼアメリカからの輸入で、し かも花粉が100km以上飛ぶので、もはや国内産のトウモロコ シで、遺伝子組み換えの影響を受けていないものを探すのは難し いのではないかといった状況だそうです。  そういった現状を考えると一粒でも作付けしてしまったら、取 り返しがつかない状況にもなりうるってことです。  そんなわけで、この問題はもうちょっと深く考えていかなけれ ばならないと思っています。 〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃〃 【4】直売所のひとこと・・・重要なのは  今年4月のJAS法が改正され、インチキ有機食品が姿を消し たと思ったら、有機の需要自体が減ってしまったそうです。  不景気が影響しているってのもあるでしょうが、それらの消費 者は「食品の安全性」よりも「安価な安心感」を求めていたのか なって気がします。  『交流会』では中国の有機稲作の現状報告もありました。  中国の黒竜江省などでは何百万haもの田んぼでジャポニカ米 が栽培されていて、しかも無農薬、減農薬といった高付加価値米 への転換が進んでいるそうです。減農薬米の中国での販売価格が 何と精米1kg54円だそうです。それでも現地では普通米の2倍 の価格!  現在の市場流通中心のやり方では、たとえ有機米といえども大 量生産、大量流通のシステムに組み込まれていって、いずれはア メリカ産、中国産米に駆逐されてしまうのは確実です。そう考え ると「産直」ってやり方がもっと重要になってくると思います。  今後日本で有機農業をつづけていくには、農家の努力はもちろ んですが、消費者の農業に対する意識がもっとも重要になって来 るのではないでしょうか。  単に「安全なものを食べたい」ってだけなら国産のものである 必要はありません。そうなってしまえば日本の農業は確実に滅び ます。  そして消費者の農業に対する意識を変えてもらうと同時に、農 家の食品に対する意識も変えていかなければならないと思いま す。  実際「食品を作っている」って思いながら農業やっている人っ て、果たしてどれくらいいることか。  他人の意識を変えるってのはかなり難しいことだと思います が、来年はそういった方向にも力を入れていこうと思っていま す。            *  *  *  そんなわけで、HPに「つづける有機」というコーナーを作っ てみました。まだ未完成ではありますが。  有機農業をつづける、広げるってことは、農家だけの課題では なくなってきているようです。  たったひとりの小さな農民になにが出来るかわかりません。そ れでも何かしなければいけないような状況です。  ですから、いろんな人のお力と、お知恵を拝借して、一緒に考 えていきたいと思っています。  来年もどうぞよろしく。皆様の積極的なご参加をお待ちしてい ます。  「ぼくはきっとできるとおもう。なぜならぼくらがそれをいま かんがえているのだから。」  〜ポラーノの広場/宮澤賢治                       〜よーすけどん             http://www.ic-net.or.jp/home/yo-w/