*平成十六年のごあいさつ*

 有機農業に本格的に取り組みはじめたのが平成九年。速いもので今年で八年目になります。
 最初はちょっとした興味から、先のことなど深く考えずにはじめました。
 年を経るごとにいろいろな課題、問題にぶつかり、右も左もわからずに手探りで対処していくうち様々な物事が見えてきて、やっと最近、具体的な方向性というものが固まりつつあります。
 
 有機農業を続けてきて見えてきたのが、日本人の食生活の変化、そしてその中における有機農産物の位置づけといったものです。
 現在有機農産物は消費者、流通、生産者までも大多数の人が、特殊な、高級食材的な位置づけで見ているのではないでしょうか。
 確かに大量生産型の農産物と較べれば、高上がりな有機肥料を使い、農薬を減らした分を労働力で補い、その上収量も少なくなるということで、高価格になってしまいます。
 大量生産、大量流通、省コストといった観点からすれば、高級食材的な位置づけにならざるをえないかもしれません。しかし、食というものの本来あるべき姿を考えれば、有機農産物と高級食材とは別なはずです。時代の価値観が変われば、違った位置づけになるはずです。
 
 現在は有機農産物でさえ大量流通、省コストといった20世紀的な価値観の中で生産、流通されています。
 しかし、確実にそれとは違った新たな価値観が芽生えつつあり、その中でどういった食料を作るのかを考えていくと、新しい農業の形が見えてくるはずです。で、その辺が何となく、ぼんやりと、遠くの方にかすかに見えているような感じです。
 
 日本人はどういった食生活が望ましいのか、それに対してどのような農産物を供給すればいいのか、出来るのか。今年はそんなことを考えながら農業を続けていこうと。まあ、とは言っても、一人で焦ってどうなるものでもないので、のんびりゆっくり気長に取り組んでいきたいな〜と。酒でも飲みながらね。

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