今年はずいぶん温泉に入りました。突然スイッチが入ってしまったのです。
いや、今までも温泉は好きだったのですが、「温泉も好き」から「温泉が好き」にレベルUPしたのです。
「突然」と言いましたが、スイッチが入るためのいくつかの段階を経て、満を持してのスイッチONなのです。
まず第一段階は『たまたま温泉』。
20代の頃、温泉といえば、宴会をしに行くところでした。
仕事先の打ち上げとか、地元のJAやら何やらの旅行といえば、温泉旅館でのドンチャン騒ぎ。飲んで騒ぐのが目的で温泉はおまけ。時間がない時なんか、一度も温泉に浸からずに帰ってきた、なんてこともありました。
あの頃は東北を中心に、関東から北海道まで、いろんな温泉地に行きました。
しかし自分の仕事に専念しだしてから、そういった温泉の利用とは縁がなくなり、世間的にもバブルの崩壊やなんかで、そういった温泉利用ってのが少なくなりました。数年前に所用で巨大観光ホテルが建ち並んだ温泉地に行って、その寂れ方にビックリしたものです。
第二段階は『ついでに温泉』。
オートバイであちこち旅をすれば必ず温泉にぶつかります。
何時間も走って溜まった疲れを温泉に入って癒すってのはほんとに気持ちが良いものです。
とはいえ、この段階ではまだ泉質がどうの、掛け流しがどうのといったレベルではありません。どちらかというと銭湯感覚。足の伸ばせる大きな湯船には入れることの方がうれしかったりします。
それでもこういった時に立ち寄る温泉は以前の巨大観光ホテルとは違って、山の中の静かな宿なんかで、温泉場の雰囲気とかを楽しむようになってきました。
こういった前段階を経て、いよいよ『温泉好き』のレベルへと突入していくわけです。
まず温泉好きの第一弾スイッチを入れた温泉は、たまたま立ち寄った宮城県鳴子・中山平温泉の日帰り施設『しんとろの湯』です。
以前から知人に「ここの湯は良い」と聞いていたのですが、入ってみてビックリ。このお湯がヌルヌルとした不思議な感触。体の芯から温まってくる感じですっかりやみつきになってしまいました。
この温泉は高温の源泉を長い木の樋に流すことによって温度を下げ、加水無しの源泉100%で掛け流されていたのでした。
なるほど、そういった手間を掛けることでこの泉質を保っているのかと感心しました。それから泉質とかお湯の用い方とかに気をつけて温泉に入るようになりました。
そして決定的な温泉スイッチ第二弾を押したのは東の温泉横綱、群馬県の草津温泉です。
夏にツーリングに行って、草津温泉の共同浴場をはしごしました。
何よりも圧倒されたのは、大きなホテルや観光旅館、土産物屋が林立する中心に、圧倒的な存在感で鎮座する湯畑。
「オレこそが温泉だ」と強烈にメッセージを発しています。周りの金のかかった華やかな観光施設が付け足しにしか見えません。。
なるほど、お湯こそが温泉の本質なんだと、あの湯畑は訴えかけていました。
もうそれからというもの、寝ても覚めても温泉のことばかり。さいわい私の住む新庄市は、車で一時間圏内に全国的に名の知れた秘湯・名湯がゴロゴロあります。なんと恵まれたことでしょうか。温泉三昧の日々を送り放題です。
とはいえ、仕事だ、予算だと、いつも日帰り入浴ばかり。一度湯治というものを体験してみたい。一週間とか十日とか、ボーッと何も考えずに体がふやけきるまで温泉三昧の日々を、一度でいいから送ってみたい!
でも、それを体験してしまったら、きっと一度ではすまないだろうなあ。仕事が手に付かなくなってしまったらドーシヨー。
(2008年12月)
こんな生活がしてみたい