*温泉で紅葉を*

 10月の半ばからずうっと雨降り。そして末には雪に変わり、紅葉も色づかないうちに冬が来てしまったような天気です。ここのところの天気のおかげで新庄周辺では大豆どころか、ソバの収穫も終わっていないところがあります。
 11月も十日を過ぎたある日、やっと少しだけ日が差しました。鈍い色の雲の隙間からうっすらと差す晩秋の陽に照らされる紅葉の色は、まだこれから秋本番を迎えるといった感じです。年寄りたちにいわせると、山の葉が落ちる前に雪が降ると根雪が訪れるのは遅くなるそうですが、どうなる事やら。

 稲刈りが終わってすぐ、後かたづけの合間を縫って、紅葉でも眺めながらのんびり骨休めしようと秋田県の泥湯温泉に行って来ました。
 山形県は全市町村に温泉が湧く温泉天国です。私の住む最上地方にも山間のひなびた湯治場から国道沿いのにぎやかな温泉、最近はやりの健康ランド風の温泉までよりどりみどりです。
 それでも私がよく行くのは(といっても、そうしょっちゅう通っているわけでもないけど)県境を越えた秋田県の温泉です。いくら良い温泉でも地元だとなんだか気分が盛り上がりません。たいして距離が違わなくても、県境を越えると「はるばる温泉に浸かりに来た」なんて気分になるもんです。
 県境を過ぎればすぐの秋の宮温泉郷は秋田から山を越えて宮城に抜ける街道沿いにあり、その道とともに時を刻んできた温泉って感じで、ふつうの生活感があるとともに、なんだか懐かしい雰囲気があり、とても好きです。
 ちょっと先の泥湯温泉は本当に山の中に温泉宿が数軒あるだけの秘湯って感じで、なにやら別の世界に入り込んでしまったような気になる温泉です。
 その先の小安峡温泉あたりになると、今風のレジャー施設なんかがあって、ちょっとリアルすぎるかな。
 このあたりは、オートバイ好きの私としてはまことに楽しい、走り甲斐のある道がたくさんあるのです。特に紅葉のシーズンと来たら、これが現実かってほど美しい光景の中を走るわけです。ああ〜、たまらん。

 紅葉ってのはほんの数日、信じられないくらい美しく輝くときがあります。去年はちょうどドンピシャ、紅葉真っ盛りの時に当たって何とも心地良い思いをしたんですが、今年いったときは紅葉がまだ始まったばかりでした。もっと紅葉が濃くなってからまた来ようと思っていたけれど、この天気ではムリみたい。露天風呂で紅葉を(あるいは落ち葉でも)眺めながらのんびりするといった目論見はどうも実現しそうにない。仕方ないから紅葉をあきらめて、暗い空から静かに降る雪を眺めながらのんびりと露天風呂で・・・。しかし雪にはコタツです!お風呂ではなく、断然コタツです。コタツで丸くなりミカンを食べるのが好きなんです。
 露天風呂で雪見酒・・・・やっぱりコタツだなぁ〜。

(2002年11月)

温泉でのんびり
紅葉眺めながら温泉のはずが・・・

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