*ああ、愛しのなっとう*

 関西人は納豆が嫌いだといわれていますが、私の知っている関西人に納豆嫌いが一人もいないのはなぜでしょうか?
 東北に住む私はといえば、もちろん納豆大好き。毎日二食までならおいしく食べられます。毎日三食納豆となると、これは少し考えてしまいます。「そこまでは好きじゃない」というのではなく、「そこまでしなくてもいいでしょう」といった感じです。
 皆さんは納豆をどうやって食べるのでしょうか。聞いた話によれば、砂糖を入れて食べる地域もあるそうです。うちの弟が子供の頃、納豆とマヨネーズとしょうゆとバターをどんぶり飯にかけ、ぐちゃぐちゃにかき混ぜて食べていたのを見たことがありますが、変わった食べ方もあるんでねえ。
 そこまでいかなくても納豆はいろいろな食べ方のバリエーションが楽しめます。塩を入れたり、味噌を入れたり、卵と混ぜてもいいし。それから「おみ漬け納豆」がまたうまい。「おみ漬け」とは山形の青菜(せいさい)、大根、人参、しその実などを刻んでつけ込んだもの。これと納豆を半々に混ぜ合わせ、香り付けにしょうゆをひとたらし。こいつは冬がうまい。
 納豆汁なんてのもあります。これも冬に食べると体が温まって、なんともたまりません。
 しかし、なんといっても王道は「しょうゆ」。
 まずはじめに十分かき混ぜます。これを怠ってはいけません。豆が一つ一つほぐれ、粘りが全体を覆い尽くすまでかき混ぜなければなりません。けっしてしょうゆを入れた後ではだめです。後からではこれほどの粘りは出なくなってしまいます。十分に粘りがでたら、カラシとしょうゆを入れてさらにかき混ぜます。それらが粘りとなじんだところで、あつあつのご飯にのせて食べる。おお、うまい。ごはんとかき混ぜて食べる人もいますが、私はのせて食べた方がうまいと思います。
 「なんだ、ネギを入れ忘れてるじゃないか」と言う人もいるかもしれませんが、けっして入れ忘れたわけではないのです。あえて入れなかったんです。
 はたして、納豆にネギは必要なんでしょうか?
 ネギはせっかくの納豆の甘みを消し去ってしまう気がします。それがどうにもゆるせない。「いや、ネギがなければ始まらない」と言う人もいるでしょう。むしろ私の意見は少数派かもしれません。
 だがしかし、あえて言わせてもらいます。
 だれがなんといおうと、私は納豆にネギは入れない!入れないぞお。
 これでいいのだ!!

(1999年3月)

 雪だるま
雪の降る夜

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